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Review by TAKASHI FUTATSUGI
 
 
MIX CD
 
1. The Balance Movie / 鬼頭 (Kix)
スプレー缶を片手に独自の世界観を見せつけるアーティスト=鬼頭の映像集+DJ Missieによるその世界観を音源に落とし込んだ日本語ラップ・ミックスのコンボ作。妄走族を始め数多くのアートワークや、アパレル・ブランドACCのデザインにライヴ・ペインティングを行う鬼頭の活動を作品ベースで追った映像も見所満載だが、Maccho、Ryuzo、般若がdj hondaのビートでコンビを組んだり、JhettのビートでのDabo&Suikenの新録など、今のシーンの動きが見えるセレクション、ミックスも流石の内容だ。観て、聴いてアガる2枚組。
 
ALBUM 
 
2. How I Got Over / The Roots (Def Jam)
ライヴ・バンド、ネオ・フィリー云々を超越した存在である彼らの9枚目のスタジオ作。ツアー生活を中断させる大仕事となったTV番組『Late Night with Jimmy Fallon』のハウス・バンド時代に録音されたという本作は、怒りのイメージが強かった前2作よりもポジティヴで、鍵盤を目立たせたからか、ややスピリチュアルな印象も。現在彼らと共に新作を制作しているJohn Legendや、お馴染みのDice Raw、Peedi Peedi、Monsters Of Folk、Phonte(Little Brother)、Blu(!!)等のゲストの好演も利いた完成度高き"大人"の1枚。
 
3. Crunk Rock / Lil Jon (BME)
クランクとは、クルンクだったのか...? というのはジャケの表記上の話。倒産したTVTとのゴタゴタを乗り越えて、5年ぶりとなった最新作(にして初ソロ?)。当初は「次作はクランク+ロック(メタル)になる!」と公言していたが、結果、一回りしてエレクトロ風味が利いた今の時代の直球勝負作に。プロデュースに、彼の他、Drumma BoyやShawty Redd、Catalyst、LMFLOらが混じってるのもプラスに働いた? レゲエ・ファンには、Stephen&Damian Marleyとの曲や、Ice Cube、Game、Elephant Manとの激ロックな曲もお薦め(バックはWhole Wheat Bread)。何だかんだとパーティと号令ラップ路線は健在の会心作。
 
4. Sir Lucious Left Foot: The Son of Chico Dusty / Big Boi(Def Jam)
Outkastの片割れで、Purple Ribbon軍団でのリリースもある頭脳派ラッパー、Def Jamに移籍しての初ソロ作。相棒Andre 3000や、古くから彼らを支えてきたOrganized Noize、Salaam Remi、Scott Storch、Lil Jonら多数のプロデューサーが関わった多彩かつベース・コンシャスなサウンド・プロダクションもさる事ながら、主役のコンセプト作りやキャスティングの妙(T.I.&Khujo Goodie、B.o.B &Joi、Gorge Clinton&Too Short、彼が発掘したJanelle Monae等)が全体に行き渡り楽しい内容。

 
5. Villa Manifesto / Slum Village (Octave / Ne'Astra / Barak)
J Dillaに続いて昨年療養中だったBaatinも亡くし、T-3、Elzhの2人となった彼らの通算6枚目となる新作は、この5年もの間に進行させていたものだとか。今作のプロダクションは、彼らが契約するBarak Recordsのオーナーの息子Young RJをメインに、J Dillaの遺作や、Hi-Tek、Dave West、Mr.Porter等も参加し「彼ら」の色を意識したものとなっている。De La Soul、Phife(ATCQ)、?uestlove、Dweleらファミリー的なゲストの存在を含めてファンも納得の高水準のデトロイト・ヒップホップ作。日本盤ボーナスのRAWな3曲もヤバい!
 
6. The Delicious Apple Pie / Deli (Cutting Edge)
僅か半年のブランクで早くも最新作登場。声、フロウ、リリックでオリジナリティの正三角形を描く彼は、日本屈指のオートチューンの使い手である事も前作で実証したが、今作でもそれらの武器をフル活用しつつ、新しい展開を盛り込んで聴かせてくれる。タイトルにもあるその「加工」性がどれほど「B」なものなのかは聴いて確かめて頂きたい。トラックではJashwon、Blast Off、DJ Yutaka、Jhett、Risky Bizness、K-Moon等、ゲストはTwigy、Mars Manie、Corn Head他が参加。初回盤がお薦め。
 
7. Clock Work / 4WD (S.T.O.R.M. / One Year / Concrete Green)
関西シーンを中心に現場という現場をその拡声器いらずの馬鹿デカい声で震撼させてきた規格外のキャラ立ちMC=4WD、待望のフル。彼自身が関わるS.T.O.R.M.と、説明不要のBach Logicが率いるOne Year War Musicに、Seeda&DJ IssoのConcrete Greenのトロイカ体制で制作/リリースされた本作は、4WDの魅力、底力を最も身近で知る男=BLを中心に、Jigg、Ohldらがトラックを提供。ゲストでSeeda、Norikiyo、Mikris、KGE、謎の超合金歌手=鋼田テフロンらが参加。スタイルの幅を広げ、ディープなリリックで勝負する主役に死角なし。速攻Lock On!
 
8. Reborn / PIT GOb (D.Office)
昨年、力作の1stアルバムを届けてくれた練マザファッカーズの核弾頭の2ndは、小学校時代からの親友=DJ Munari(下克上NYC)とのタッグ作。その経緯はスキットでも語られている通り。本作は「昭和53年生まれ」の2人のNYでの再会から、録音の日々を巧みなストーリーテリングで描かれており、リスナーをグッと惹き付けるGObの語り口と、ブットい、バンギンという説明では足りない無也の幅のある音世界が融合した「全曲組んだ価値のある」引力抜群の1作。英詞だったり、ラヴ・ソングといった新たな挑戦、シリアス・トークとユーモアのあるリリックのバランスもいい快作! 客演はSharp-A-Don(NY)、Corn Head、般若、D.O.。
 
9. 波の音がオレラの子守唄 / 偉丈夫 (おもちゃ工房)
左腕に"鎌倉の紋"を刻むこの男。ウエッサイ好き、湘南ホーミーなら知らないはずがないYellow Rip出身の彼は、日本人離れした後乗り、レイドバック・フロウでのラップ・サーフィンを武器にジャンルに捕らわれない活動を展開中なのだが、この初ソロ作はマイク1本でしかも1本調子じゃなく、どんな客をもガチ掴みしてきたオリジナルな魅力がわかりやすい形で凝縮された短編集となっている。掴み曲の多い前半だけでなく、リリカルな「生き様 死に様」や、浪漫チストらしいメロウな「半年間咲いた花」など後半も良曲揃い。盟友Mellow-Klowを中心にDJ Nishimiaらがトラックを提供。
 
10. 24H / Hifana (EMI)
レゲエ・ファンからも支持されるオリエンタル・ブレイクビーツ・ユニットの約5年ぶりとなるオリジナル3rd。テーマは、"1日=24時間"で目覚めてから寝るまでの時間を12曲の楽曲、12本のミュージック・ヴィデオ(!)で表現。常にFresh!な音像と残響、そして口出しゲストで楽しませてくれる彼らだが、今回の客演陣は、UA、Spinna B-ill、Twigy、鎮座Dopeness、Leyona、三宅洋平、吾妻光良、Keyco、Tucker。その斬新極まりない映像もそうだが、あまりネタばらしをするのも何なので、頭を真っ白にして腰を抜かしちゃってください。
 
11. Gold School / カトマイラ×ヤモ Are Gold School (Vybe)
Kochitolaのカトマイラと、縁の下の新種の昆虫の様な力持ち=yamoによる黄金ユニット、ヤモカト...いやGold Schoolのデビュー作。すっ頓狂なラップで聴く者を煙に巻くカトマイラを、どこか懐かしく含蓄のあるサウンドで簀巻きにするyamo。彼は本誌年間ベスト入りした『Hagulife』に八合目trax名義で参加した他、REC、ミックス、マスタリングも担当した5番目の男であり、あの面影ラッキーホールの結成当時のメンバーなのだとか。鎮座Dopeness、Sabo、DJ Mew、S.L.A.C.K.、punpee、Chuck Morisら(ほぼ)年下ファミリーのサポートも万全。
   
12. 君たちがいて僕がいる / Wolf Pack (KSR)
チャーリー浜ではありません。以上!...いや、この3枚目の『ラップ餓狼伝』は開き直りスープレックスが得意技の奴らの戦歴の中でも格別にプププ度が高い、やりたい放題の1枚となってILL。日々一般ピーポーである事を自覚し、オン/オフの切り替えが激しい人生を送るその姿をまんま投影した本作には、下を見ながら歩く事で気づく様な瑣末で尊いエピソード満載で、もはやラップしてません!的な演歌(聴く人が聴けば)の泥臭ささまで。プロデュースはHi-A+Productionを始め理解者だけ。Doberman Incを迎えた鉄板曲「Dive」のリメイクもアルヨ。

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